老人ホームの食事について
老人ホーム入居検討者に「老人ホームを選ぶ際、一番大事にしたいサービスってなんですか」という質問に、「食事」と答えられる方がいらっしゃいます。
毎食食べる食事が美味しいと生活にハリがでますし、バランスのとれた食事は病気の予防にもつながります。
ただ、人それぞれ食事が美味しいと思う基準は様々ですから、食事が美味しい老人ホームに入りたいという方に対し100点でのご回答は難しいなと感じています。
詳しく老人ホームについて調べている方は、直営で厨房を運営している老人ホームがいいと聞いたのですが厨房直営に絞って老人ホームを提案して欲しいという方も過去にいらっしゃいました。
厨房業務を委託することで委託された会社は委託料の中から利益を抜きますので食事の質が落ちるとお考えのようですが、直営といってもそこで利益を抜けば同じ構図です。
むしろ食事を作ることに長けたプロフェッショナルの業者に委託した方が質が良い場合もあります。
ではどのような基準で食事の美味しい老人ホームをご紹介しているのかという点についてですが以下にまとめたいと思います。
① 予算
関東一円様々な有料老人ホームに見学同行している私が一番美味しいと思ったホームは食費だけで月額10万円を超える費用をとる有料老人ホームです。
通常の有料老人ホームが月額6万円前後ですから、それに比べると4万円以上高いことになります。高い金額を払えば食材費にお金をかけられますし、調理するスタッフも人件費の高い腕のいいシェフを雇うことも可能でしょう。
② セントラルキッチンかホーム厨房内で作っているのか
セントラルキッチンで作った食事を老人ホーム内で温めるだけ、施設ではご飯を炊いてお味噌汁を温めるだけというホームもあります。
ホーム内で一から作って提供するものと、セントラルキッチンで作って各老人ホームへ配送されてから提供するのでは鮮度に差が出てしまいます。
またその老人ホームで今調理したという出来立て感や手作り感も薄れてしまいます。
③ 温かいものを温かく冷たいものを冷たく
一斉に入居者皆で揃っていただきますをして一斉に食べ始めるという学校のような食事をしていたのが昔の老人ホームです。今でもそれに近い老人ホームがあります。
最近のトレンドとしては、2時間ほど食事時間をとり、好きな時間に食べにきてくださいというレストラン方式の有料老人ホームが増えてきました。
特に食事にこだわりのあるホームは、席に着かれてからレストランのようにお水やお茶を出してから、厨房に食事の注文を出します。
温かいものは温かいうちに、冷たいものは冷たいうちに召し上がっていただくようなこだわりです。
④ 和食や洋食の選択
朝食はパン派ですか?ご飯派ですか?我が家はご飯中心で週に1回パンの日があるといった具合です。
有料老人ホームの中には自宅と同じように朝食にパンかご飯どちらかを選択できるホームがあります。
また、昼食や夕食もおかずを選択できるようなホームあります。ロスが出ないように事前予約をとるホームがありますが、選択できるというのは嬉しいサービスですね。
⑤ アラカルト食
急に家族が老人ホームに訪問してきて食事を一緒に食べようとなった場合、通常老人ホームで出されている食事と同じものを急に用意しろというのは難しいですが、アラカルトメニューから麺類や丼ものなど注文できたら嬉しくないですか?
老人ホームの中にはアラカルトメニューをそろえて、急なご家族の食事に対応したり、もう一品おかずを別に頼みたいというような要望に対応しています。
どうしても今日はラーメンが食べたいという時には、老人ホームの食事をキャンセルしてアラカルトのラーメンを頼むというような方も中にはいらっしゃいます。
⑥ 季節によったイベント食のご提供
ホーム内での生活が長くなってくると、食事にメリハリがなくなり、マンネリ感も出てきます。
イベント食は見た目からしても、いつもの食事とは違いがあります。また特別感があり、いつもの食事よりも美味しく感じたり、次の行事食が楽しみになります。
恵方巻が出る節分や、鰻重が出る土用の丑の日というように季節に応じたものではなく、すし職人が来て目の前でお寿司を握ってくれたり、マグロの解体ショーをやったりと季節もの以外にもイベントを多数開催する有料老人ホームもあります。
⑦ 食事の形態について
飲み込む力が弱くなってくると誤嚥性肺炎のリスクもあり食事形態を一口大、刻み食、柔らか食、ミキサー食といったように入居者に応じた食事形態に対応してもらうことになります。
ただしミキサー食レベルになると元の形態も分からず、食事を美味しいと感じるより胃に流し込んでいるというような状態になってしまいます。
飲み込む力が弱くなった方でもできるだけ元の食材の色や形、味にこだわったムース食の提供を行うホームがあります。
いつまでも食事を楽しんでもらいたいという思いが込められています。
⑧ 入居者で自ら食事を作るホーム
グループホーム(認知症型共同生活介護)では認知症があっても比較的お身体が動く方を中心に入居されており、少人数のグループに分けてケアサービスを提供しています。
ホームの中には、認知症だけれども、まだまだ買い物や調理などできる方がいます。
認知症だから危ないので、包丁を持たせない、火を使った料理をさせないのではく、料理をすることで認知症の進行を抑制しようという取り組みです。
認知症があることが入居条件になりますが、シェフが作った料理よりも家にいる時のように自分で調理して家庭的な食事を楽しみたいという方はぴったりなサービスではないでしょうか。
食事が美味しい施設を選びたいという方、上記、ポイント8つをご確認いただき食事にこだわりを持った老人ホームを選びのご参考にしてください。
老人ホームの窓口 吉田